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「とまぁ、そんなところだな。今回の要点は『気持ちは言葉にしないと伝わない』と『褒めるなら行動』だ」
「ふむ、何だか終わりそうな雰囲気だな。それじゃあ怒り狂った若山から逃げる準備をするか」
「それはアンタたちがふざけるからでしょうが」
「ふざけるだと? なんか上手い具合に奇跡が起こって勝手に彼女ができねぇかなぁという切実な祈りのどこがふざけているっていうんだ」
「神様が耳にしたら差し出される前に両の頬をビンタしそうなほど舐め腐った心意気ね」
「それじゃあ俺は帰るぞ。じゃあな安登、若山」
「おいおい文戸、このまま帰れると思っているのか? 帰りたければこの俺と遊んでからにするんだな」
「邪悪な笑顔でかわいいこと言ってんじゃないわよ」
「ははは。それじゃあな、頑張れよ」
「……ほ、本当に帰っちゃった」
「なんか妙にニヤニヤしていたが、唇でも切れたのか?」
「唇が切れたときに一番しない行動でしょ」
「しかし予定が狂ったな。今日は文戸と2人で大縄跳びをしようと思っていたのに」
「それ縄を回しているだけじゃない。……そういえば、さ。安登ってこの後は講義ないんだっけ?」
「あぁ、課題も全部終わらせたから、あとは家に帰ってオールで寝るだけだ」
「私も後はレポートを提出したら帰るだけだからさ、その……どこか遊びにいかない?」
「それだったらカラオケにでも行くか? ちょうど大学近くの店が何周年かの記念で安くなっているんだよ」
「う、うん。それじゃあ私、お手洗いにも行きたいから西門の前で待っててもらっていい?」
「分かった。それじゃあ、またあとでな」
「ちょっと長めに手を洗ってくるけど、ニャンコみたいに大人しく待っててね?」
「大人しく待つならニャンコじゃなくてワンコだろ。それにしても文戸のやつ、何の用事なんだか……」
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