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「『女の子を落としたいのなら、消しゴムを落とせ』と書いてある」
「書いたのはお前だけどな」
「書いたのは俺だったわ」
「どういうことだよ」
「まずは一度考えてから質問しろよ。お前の脳みそ赤味噌か?」
「愛知県民だから2割くらいは赤味噌で構成されているかもしれない」
「念押ししておくが、女の子を落とすというのは屋上からとかではなくて、恋にというわけだからな」
「誰が間違えるんだよそれ」
「では……シンキング☆タイム」
「お前のウィンク、めちゃくちゃ気持ち悪いな」
「シンキング☆タイム」
「何で2回言ったんだよ」
「早く考えろよ」
「女の子を落とすには消しゴムを落とす、か。そういえば消しゴムに好きな子の名前を書いて使い切ったら恋が成就する、みたいなお呪いがあったよな」
「お、近い」
「どれくらい近い?」
「さそり座とオリオン座くらい」
「真反対じゃねぇか」
「ヒントを言えば、別に消しゴムじゃなくてボールペンとかでも構わない」
「つまり、物を落とすことに意味があるわけだ」
「貴様のようなゲロカスミジンコでも理解できたようだな」
「何でさっきから罵倒ワードを3つ並べるんだよ。ぷよぷよでもやってんのか」
「いや、ぷよぷよは4つじゃないと消えないだろなに言ってんだ」
「あの、その辺りは深く考えないでください」
「ふむ、ドントシンク、ドントフィールというやつだな」
「それ何もしてねぇじゃねぇか。ただの睡眠だよ」
「で、正解は分かったか?」
「後ろから物を落として、物音で振り向かせる。つまりは女の子を振り向かせる方法ってわけだな」
「貴様のようなとんち一休とんちんかん野郎がいることを想定して、振り向かせるじゃなくて落とすという表現にしたんだよ」
「何だよとんち一休とんちんかん野郎って」
「もう正解を言ってしまうが、ようは認識論というやつだ」
「三文字以上の漢字を使わないでくれるか?」
「にんしきろんというやつだ」
「それならいい」
「いいのかよ」
「で、何だその認識論というのは」
「人間の脳というのは答えから経過を導き出すことが往々にある」
「俺もそれで数学のテスト×にされたなぁ、式が違うとかいって」
「まぁニュアンスはそれに近い。人間というのは理屈に合わない行動をすることがある。実際には深層意識では考えていたりするのだが、表層意識にはないため、自分でも行動の理屈が分からないことがある」
「もうちょっとIQを落として」
「つまり、考えるより先に身体が動いた時、身体が動いたあとに理由を考えるんだ」
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