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「寂しくないんですか?」
私は沙羅さんが心配にだった。
「寂しいわよ。でもね最初に川村に言ったの。『私はお付き合いは出来ても貴方とは結婚は出来ません』って。そうしたら『わかってます』って…。その時に、あっこの人も職人なんだとわかったの。誰にも真似出来ない技術を持った職人が背負う物、それをこの人はわかっている。だからお付き合い出来たの」
「川村さんが職人…」
「川村って仕事じゃ冷たいでしょ?あれは川村にしか出来ないひとつの技術だと思うの。それにね、本当は凄く優しいの…相川さんのお母様ご病気なの知ってる?相川さんお母さんを一人に出来ないでしょ?異動になったらやめなければならない。だから身を持って守ったのよ」
「え・・・」
「お客様と従業員を守るのが俺の仕事だって、いつも川村が言ってた。そしてお客様と従業員を笑顔にするのがコンシェルジュ長瀬の仕事だって。あなたを信頼していたから川村は役目を果たせたの。ありがとうございました」
「私は・・・・・」
川村をわかってなかった自分が悔しかった。
「長瀬さん、川村が貴方にこの封筒を託したのは私にこのお話しをして欲しかったんだと思います。頑張って下さい」
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