副支配人川村

3/8
前へ
/14ページ
次へ
「おはようございます」 「おはよう…今日の朝礼頼めるか?昨日は飲み過ぎた」 「ぷっ!」 私は夕べの川村の笑顔を思いだし吹き出してしまった。 「何?」 又氷の様に冷たい声が返って来る。 「おはようございます。朝礼を始めます」 私は淡々と連絡事項を申し伝え、続けて 「GOTOのお客様が多くいらっしゃいます新しく当ホテルのファンを増やすチャンスです。常連様には安らぎと安心感を、新規のお客様には感動と驚きを、では本日も宜しくお願いします」 朝礼を終え 私はロビーに出た。チェックアウトで賑わう中に昨日本郷様と同時に入られた若い3人の女性が観光リーフレットの前で話していた。そして私を見つけ近寄って来た。 「あの、今日廻る所を悩んでるんです、土地勘ないし」 「そうですか。ならばお力にならせてください」 私はそう言ってソファーへと案内し、行きたい所と本日の最終到着地と目安時間を聞いた。 彼女達は思い思いの場所を言っていた。その時、インカムから川村の声が聞こえた。 「長瀬、本郷様がお呼びだ」 「はい、今原田様を…」 「ご案内は相川に変われ。相川聞こえるか?」 「はい相川です、承知しました」 私は相川さんと変わる旨を女性達に伝え803号室に向かった。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

61人が本棚に入れています
本棚に追加