いいから惚れてみろ①

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いいから惚れてみろ①

目の前で酔っ払って泣くのを見るのは何度目だろう。 恐ろしいほど惚れっぽいイケてる外見のサトシさんは中身はかっすかすだ。 マスターの大学時代からの友人だというサトシさんは毎日のようにやってきては振られた話しをしながら愚痴り泣く。 どうしようもない。 そしてどうしようもないのはあたしもだ。 こんなしょうもないかっすかすの男なのに、 あたしよりずっと年上なのに、 可愛く見えるってどういうこと? それより腹が立つのは、目が合っただけで惚れるほど惚れっぽいのに、なんであたしには惚れないの!? 今日もサトシさんはめそめそと管を巻きながら泣く。 「な〜んで最初は好き好きって言うのにすぐ振られんのかな〜」 「中身も知らずに付き合うからじゃないんですか」 「知ったらもっと好きになるかもしれないだろ〜」 「知ってから付き合ったって遅くないでしょ」 「人生は短いんだよ、あっという間なんだよ!後悔しないように思い立ったら吉日って言うじゃない〜」 「吉日になってないじゃないですか。いい加減懲りたらどうですか」 「あすかちゃん辛辣〜〜〜」 「あたしはサトシさんみたいにお手軽に生きてないんです」 「ますます辛辣〜〜〜」 とうとう泣きながらテーブルに突っ伏してしまう。 もうこの男は…… 「ほら、顔上げて!鼻水と涙拭いて!」 「ちょ、あすかちゃん、これ台拭きじゃ?」 「男が細かいこと気にしないの!」 「細かくない…ちょ、痛いって」 涙と鼻水を拭いてまともな顔をすれば、ほらいい男。 「惚れやすいんですよね?」 「まあ、否定はしないけど」 「じゃあ、なんであたしには惚れないんですか」 「え。だって、ほら、あすかちゃんは、なんてゆうか」 「あたしだって性別女です」 「いや、知ってるよ」 「何か足りません?色気とか?胸とか?」 「いや、え、俺何確認されてんの」 「足りません!?」 「い、いや、足りてます!」 「じゃあもうあたしでいいじゃないですか!」 「え……………」 「やっぱり足りないんですか!?どっち!?」 「い、いやっ、足りてます!」 「じゃあたしでいいですねっ!?」 「は………はい、よろしくお願い、します…?」 困惑顔のイケメンを何とか手に入れた。 第一関門突破。
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