44.金色の庭を越えて。

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 何度も連絡先を、写真も、消そうとした。  もらったぬいぐるみや授業中にやり取りした手紙も、捨てようとした。  でも、できなかった。  あゆらは志鬼を信じていた。  人生で最も輝いていたあの半年間、志鬼は毎日のようにあゆらにしつこいほど愛情を注いだ。  あの情熱がその場凌ぎだとはどうしても思えず、いつかまた突然目の前に現れるのではと、期待を捨てきれずにいた。  その時、なんとなくかけていたテレビからあるニュースが流れた。 『指定暴力団、野間口組の幹部が抗争で死傷し』 「——志鬼っ……!?」  あゆらは咄嗟に画面にかぶりついた。  しかし、そこに表示されたのは知った名前ではなかった。 「よ、よかっ、た……」  あゆらは安堵の息を漏らすと同時に、改めて自分の気持ちを思い知らされ、ハッとした。 「そう……私、こんなに離れても、こんなに時間が経っても、志鬼、なのね」  あゆらはついに、根を上げた。  もう、我慢の限界だった。  強く握りしめた手を、勢いよく天に振り上げた。 「……よーし! こうなったらもう、私から会いに行ってやるわ! 私のこと、忘れてたりしたら……ほ、他に女の人作ってたりしたら、許さないんだからね!」  あゆらは知らなかった。そう意思を固めた今日という日が、志鬼が言っていたちょうど“五年後”だったということを。  ——ピンポーン
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