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わたしは高知能と性能を持つ、人間型アンドロイド。人間を守り、敬い、補佐するために造られた。ーーそう、ただの機械人形である。…それも、不出来な。
隣に立つ弥生は、今も変わらずそのアクセサリーを手に取ってはわたしの髪にあてがう。その度に、わたしは手のひらを返して振り払った。
「せっかくかわいいんだから、おしゃれしようよ」
「かわいくないしおしゃれも興味ない」
わたしが口にする言葉は、もうすでに聞き慣れているらしい。弥生は気にするそぶりもなく、また目についたアクセサリーを手にしてわたしの髪にあてがった。
ここまできたら、もう勝手にして。
そう顰めっ面でため息を吐いた。
小さな鏡が置いてあるのに気が付き、わたしはそっとその鏡を覗き込んだ。
そこに映る、なんと不細工な姿。
片目を包帯で覆い隠し、それを隠すように長い前髪がすらりと落ちている。
反対の瞳は大きく、それこそ形はいいものの、妖しく光る紅い瞳の色がそれを格下げした。
「マナカ、これ持って。次行くわよ」
「はい、わかりました」
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