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施設で分解されていく自分の身体。その際に奪われた右目は、今はもうどこへ行ったのかわからない。
そんな壊れたジャンクのわたしを救ってくれたのが、弥生の父親、深月だった。
機械工学の研究職員だった深月は、廃棄処分されることが決まったわたしを掬い上げ修理して、生まれた我が子ーー弥生のパートナーアンドロイドとして、わたしにふたたび生きる道を作ってくれたのだ。
わたしはできることなら、深月のパートナーアンドロイドになりたかった。
わたしに触れる手が、とてもあたたかったから。…もっと、その手でわたしに触れてほしい。そう、思った。今でもあの感覚はまるで昨日のことのように思い出せる。
しかし彼にはすでにパートナーがいた。そのアンドロイドを見て、わたしは電気に打たれたショックを思い浮かべたのを、今でも如実に覚えている。
深月のパートナーアンドロイドは、他の量産型アンドロイドとは比べ物にならないくらい美しく、品格のある物だったのだ。
屈辱だった。比較されているみたいで。お情けをかけられたみたいで。
腹立だしかった。馬鹿にされてるみたいで。
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