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「ふふ、でーきた」
そう嬉しそうに笑う弥生に、わたしはため息を吐く。
「…満足?」
「うん!リオは?嬉しい?」
わたしは弥生の言葉にうぐ、と喉がつまる。
本当なら、そんなわけないでしょ、と、流すつもりでいた。
けれど、弥生の目を見たら。
わたしはそう言おうとした言葉を吐き出すのに躊躇いが生まれた。
「リオ?」
わたしを呼ぶ弥生の目は、いつも優しい。
わたしの名を呼ぶその声も。
いつも純心で、疑うなんてことを知らず真っ直ぐに生きる弥生。
わたしの心内を知らぬと言えど、少しでもわたしを蔑ろに扱えば、その本心を剥き出しにして噛みちぎってやろうとさえ、思っていたのに。
彼が、この世界に打ちのめさせるときは、少なからずやってくる。
わたしのようなパートナーアンドロイドが生まれた理由の一つに、パートナーの人間の精神面のサポートという役割があるくらいだ。それはきっと、計り知れぬほど、人間にとっては負担なのだろう。
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