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そんなサポート、わたしにはできる気がしない。わたしは不出来で、不完全で、アンドロイドとしてはジャンクだ。
弥生の、その真っ直ぐな優しさを向けてもらえるほどの物なんかじゃまったくないし、頷くだけが取り柄のいい子ちゃんなパートナーロボットとしての性能もない。
でも。それでも。
わたしはわたしのやり方で、弥生のそばにいてやりたいと、思う気持ちが少なからずあるのだ。
…これが、深月の計算のうちだとしたら、腑煮えかえりそうだけれど。
「…弥生にしては、まあいいセンスなんじゃない」
わたしに言える精一杯。棘のある薔薇の方がきっとまだ、素直だ。
わたしの言葉を聞くなり、弥生は破顔した。嬉しそうに笑い、わたしの手をとった。
「リオ、いつもありがとう。ずっと、ぼくと一緒にいてね」
いつまでそんな風に言えるのかしら。わたしは思う。
弥生と離れて、ひとり旅して歩き朽ちるのも悪くない。そう思う。今でも。
ーーでも、時間はまだ、あるから。
だから、これはその暇つぶし。
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