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プロローグ
四月十日。今日はネデナ学園の始まりの日だ。
たくさんの新入生が期待と不安を胸にやって来て、ランク制度やありえない設備の数々に驚く日。
今年はどんな子達が入学したんだろう。
今年は誰が勧誘に行ったんだろう。
今年はどんな子が先端技術科に入ってくれたんだろう。
思い浮かべても知る術はない。
この部屋で学園を感じられるものはそうはない。
クリスマスパーティーの最中に連れて来られたものだから、持って来れたのはドレスとパーティーバッグだけ。それに一樹が持ってきてくれたテディベアと鳥籠のネックレス。それだけが学園を身近に感じさせてくれる。
だけど一樹にもらったネックレスはどうしてもつけられなかった。代わりにあの日たまたまパーティーバッグにしまっていた紺色のリボンのヘアゴムを手首につける。これが今のお守りだ。
身に着けるのはいつも大人しいワンピース。お嬢様ブランドの似たようなデザインのワンピースが幾種類も用意されているクローゼットから、今日は水色を選んだ。誰に見せるわけでもないのに薄化粧を施して、髪は勉強しやすいようにシュシュで一つにまとめる。
そして勉強机に座って一つ息を吐いた。
【本日の課題】
そう書かれた紙の山に向き直る。
――皆に会いたい。
願いながら、終わりの見えない課題に手を付けた。
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