三、

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 そんな中、だんまりを決め込む兄弟が二人。一樹と康介は難しい顔をしたまま、口も開かなければソファーに座る事もない。ただ部屋の隅に立ち尽くす。  痺れを切らした姫が微笑みながら階段を指さした。 「少し話してきた方がいいんじゃない?」  二人は尚も何も言わない。となれば私が動くしかない。 「慧、ちょっと待ってて」 「ああ」  慧に断って立ち上がり。 「皆、行こ」 「え、ああ」 「うん」  由羅と玲央、尚人と心菜に目配せして。 「二人も!」  二人の腕を引いて促した。二人はそれには大人しく従ってくれた。 「二階の右奥の部屋なら全員分の椅子もミニ冷蔵庫もあるわ」 「はーい!」  姫の声に背を押されながら二階へと上がる。教えられた部屋には確かに全員分の椅子とミニテーブルが置かれていた。言うなれば小さな談話室だ。全員入り切ると同時に扉を閉める。  一樹が口を開いたのはその直後だった。 「お前は知ってたのか」  その言葉は康介に向けられていた。六つの視線が集まる中、康介はちらりと一樹を見て、またそっぽを向く。 「ああ」 「何故咲希にも話さなかった」  主語はない。だけど何の事を指しているのかすぐに理解した。
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