三、

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   朝食は春奈さん達、昼食は工藤先生達と一緒とくれば、夕食も期待してしまう。だけどこれは。 「そっちどうー?」 「いい感じ!」 「こっちも用意終わったぞ」  想像以上だ。  夕方、工藤先生達を送って行った蓮先輩が帰って来たと思ったら、ワゴン車にはまた別の人達が乗っていた。 「やっほー!」  一番に飛び出してくる柚子先輩に。 「ご飯食べに来たぞー。あ、これが望美な。可愛いだろ!」  娘さんを抱いた雄貴先輩。 「咲希、慧!」 「お待たせ!」  亜実先輩と健司先輩。  新たなサプライズに慧と顔を見合わせる。だけどその喜びを言葉にする前に。 「蓮、健司、物出すぞー。咲希、ちょっと抱いててな」 「え、ちょっと!」  状況は一変した。   「あはは! 咲希焦ってる〜! 望美ちゃん、咲希お姉ちゃんに慧お兄ちゃんだよー!」 「さっちゃん! けーちゃん?」 「そう、さっちゃんとけーちゃん!」 「抱っこの仕方ってこれで大丈夫ですか⁉︎ 慧抱っこする?」 「俺にできるわけないだろ!」  三年前に海里先輩のお腹にいた子がこんなに大きくなってるなんて。もうお喋りまでしてる。感慨に浸りたいところだけど、いきなり渡されたら驚くに決まってる。  その上、慌てている間にもまた車がやって来た。 「お待たせ」  運転していたのは園香先輩。 「こっちも炭調達して来たぞ」 「ありがとうございまーす!」 「二人共、久しぶりだな!」 「準備手伝うね」  後部座席には清澄先輩と清次郎先輩、孝則先輩になずな先輩の姿もある。  先輩達はこれまた車から降りるなり後方からたくさんの器具を下ろしていく。折り畳み式のテーブルにたくさんの椅子。炭にそしてコンロとくれば。 「え、何ですか、まさか……」 「そ! 先端技術科レク名物バーベキューの始まりだよ!」  柚子先輩は慧の問いかけにVサインで答えた。
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