446人が本棚に入れています
本棚に追加
清澄先輩が切り出したのはバーベキューも終盤、デザート串に入ろうかという時だった。
「咲希、慧。尚人君と心菜さんも……これからどうしたい?」
「え?」
「どういう……」
「学園に戻らないという選択肢もあるんだ」
抽象的な問いかけに聞き返すと、思いもしない言葉が返ってくる。困惑する弟妹達に康介が付け足した。
「報道が過熱してる。選択肢どころかお前らを保護すべきだ、戻すべきじゃないっていう世論の方が多い。8年の三人は卒業資格も認められるだろうし、心菜も今なら好きに他校へ編入させてもらえるだろう」
場はあれだけ賑やかだったのが嘘のように静まり返った。
「あなた達はどうしたい?」
姫の声が響く。
姫も康介も園香先輩も柚子先輩も蓮先輩も雄貴先輩も、皆真っ直ぐこちらを見ている。
ーーどうしたいか?
慧の顔を見る必要もない。
「学園に戻ります」
「戻ります」
学園に、皆の所に戻るために頑張ってきたんだ。
問いかけから間もおかず重なった言葉に、先輩達の表情がぱっと明るくなったのが見てとれた。
「そうか……」
「絶対に戻るって約束して来たんです」
「揃って卒業したいですから」
「ならまた二人と暫くお別れしないといけないのね」
姫の口角も綺麗に上がった。
これで二人決まった。残るは二人。
「お前らはどうする?」
「あー……」
康介の投げかけに、尚人は視線を宙にやった。
最初のコメントを投稿しよう!