四、

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四、

 戻りたい。そう伝えたバーベキューの翌日には、学園に戻る日が決まった。  先輩達が矢面に立ってくれたおかげで、軽い聞き取りを受けた以外は何もしていない。今までの分までたくさん笑ってゆっくりしていなさい、言われた通り過ごしているうちに戻る日が決まり、戻った後の待遇が約束され、家を囲んでいたマスコミが一人残らずいなくなった。  どう交渉したのか、学園に戻る車は康介の運転だ。 「飲み物もおやつもなーい。入学した時はすごかったのに! ね、どこか寄って?」  康介の真後ろに座る心菜が甘えるように運転席を小突くと、隣に座る尚人も身を乗り出す。 「豪華バスすごかったよな! あれはいつかまた乗りたいかも!」  尚人の興奮ももっともで、あんなバス、学園以外で見た事がない。でも、康介は叱るでも同調するでもなく、ただ静かに問いかけた。 「あのバスが良かったのか?」  車はちょうど高速道路に入った。七年前も確かここから高速道路に入った筈だ。ジュースやおやつがあって、身を預けるのはふかふかのソファー。揺れもほとんどなく快適で、工藤先生の話を聞いているうちに……。  思い出しているうちに尚人も同じ事を思い出したらしい。 「……そういえば入学の時は寝ちゃって、どういう道を通ったのか覚えてないんだよな」  それに反応したのは心菜だけではなかった。 「あ、私も!」 「……俺も」  助手席に座る慧までこちらを振り返る。まさか。そう思った時には答えが返ってきた。 「安心しろ、俺もだ」  その瞬間、背筋にざわりとしたものが走った。冷房が効いた車内とはいえ、この寒さは別物だ。車内が一瞬で静まり返る。 「まあ、もうないだろ」  康介は何でもない事のように言い捨てながら、車をサービスエリアへと走らせた。
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