四、

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 こんな全速力、初めて見るかもしれない。ジスランはそれくらいすごいスピードでこちらに駆けてくる。何も考えずにしゃがんで手を広げた。 「ジスランっ!」  もう一度呼び終えた時にはジスランが飛び込んできた。砂の地面に尻餅をついて、それどころか髪まで地面につきそうな勢いだけど、それはすんでのところで慧に支えられて事なきを得る。 「ジスラン、わかったの⁉︎ 来てくれたの⁉︎」   はちきれんばかりに尻尾を振って顔を寄せてくる姿に喜びが込み上げて、思い切り抱き締めた。ジスランは嬉しそうで、どこか誇らしげだ。 「お前どうやって来たんだよ」  慧が声をかけると、そちらにも人の笑顔と見紛うような顔を向けた。  部屋では何もつけさせていないジスランが、首輪だけでなくリードまでつけている。リードなんて長く引きずられたから砂で白く汚れている。  どうして。どうやってここに?  その答えはすぐに来てくれた。 「咲希ーっ!」  絶叫に近い声に反射的に顔を上げると、そこには親友の姿があった。更には体育科の陰から博と謙太まで飛び出してくる。 「慧! 咲希!」 「良かったっ!」    ーーああ、帰って来た。  自然とジスランを抱き締める腕に力が入る。 「ただいま!」  駆けて来る大切な友人達に向かって思い切り叫んだ。
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