四、

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 変わらないクラスメイト達の中には勿論、ニヤリと笑う尚人と小さく手を振ってくれる華、驚いた表情の吉川めぐや中澤理沙、大川達哉の姿もある。多少席は動いているけれど、高ランクが窓際や後方、低ランクが前方なのはそのままらしい。  そして窓際の一番後方が三席空いている。   「席変わってる?」 「俺達の席は変わってない」 「了解」  懐かしい教室に自然と上がる口角をそのままに、静まり返った教室に足を踏み入れた。 「おはよ」 「おはよ」  自分の席までの道中には華の席がある。当たり前にもう一度朝の挨拶をすると、華は楽しげに黒板を指差した。 「あっち」 「え?」  咲希が振り返ると、慧と謙太も同じ先を見る。黒板にはいつかのように【新しいルール】が書かれていた。 【社会的実験のための学園である以上、ランク制度は継続とします。 しかし、今後はランク間の待遇の差の是正し、全生徒が健康的かつ社会通念上適切と考えられる生活を送れるよう定め直すものとします。 また、違反者申告及び反省棟は即時廃止、校則については一旦全てを廃止し、必要な場合には新たに設定するものとします。 退学を希望する場合、1年生から3年生は公立中学校、4年生から6年生は公立高等学校への転校を可能とします。私立学校を希望する場合には、ネデナ学園での成績をもとに合否を判定します。 7年生・8年生は希望に応じて国内の専門学校・大学へ編入試験の要請を行います。 これまでの学費及び生活費等は一切返還する必要はありません。 退学希望者は今週日曜日正午までに学園本部へ電話、もしくは直接その旨を申し出てください】  ーー校舎中が騒がしい理由はこれだ。
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