四、

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 それに口を挟んだのは尚人達と同じ体育科のCランク、戸塚彬だ。 「気に入らないならお前らが辞めればいいじゃん」 「なんだと⁉︎」 「学園も先生もいいって言ってんだからさ」 「そーだよ、お前らが退学でいいじゃん」 「気に入らないんだろ?」 「は? 俺達はAランクだぞ⁉︎」  前方の席からあがる嘲笑うような言葉に、流石に不快感が拭えない。でも、再び教壇を見ても鈴木先生は困ったように立ち尽くしたまま。生徒達を注意する気があるようには見えなかった。 「もういい! なら俺は授業出ませんから!」  最初は宮野清二。 「私も!」  続いて位藤可菜と。 「俺も」  上田侑。 「宮野さん、位藤さん、上田さん!」  先生が止める間もない。三人は乱暴に立ち上がると、さっさと教室を出て行ってしまう。  後にはCランク達のはしゃぎ声が残った。  この光景は8年生だけでなく、他の学年の教室でも見られたらしい。 「そりゃ私も嫌ですよー! せっかく頑張って頑張ってSランク戻ったとこなのにラウンジの利用権とか無くなるんですよ⁉︎ アクアリウムルーム行きたかったし、寮の皆を順番に招待しようと思ってたのに!」 「何で努力してる俺達が損な役回りで悪く言われなきゃなんないんですか! 出て行きたくなる気持ちもわかります」  放課後の生徒会室。遊びに来ていた眞子と宏太は不貞腐れたようにテーブルの上に上体を倒してみせた。
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