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「おい! ふざけるなよっ!」
ーー喧嘩だ。
しかもただの喧嘩じゃない。
「こんな事して許されると思ってんのかよっ!」
「なら先生に言ってみればー?」
「今までいい生活送ってきたんだからさー」
「俺達の気分も味わえってんだよ!」
明らかに人数が違う。
「こんな事してる暇があるならもっと有益な事しろよっ!」
「あー偉そう」
「どうせ俺達の事見下してるんだろ?」
「私達が掃除しててもさっさと帰っちゃうもんね」
「やらなくていい権利もらってるんだから当然だろ!」
「ほら、そうやってさー!」
一人体格がいい男の子の周りには五人の男女。会話の内容からして男の子だけAランク以上なんだろう。見た記憶がないという事は1年生だ。
男の子の周りには教科書が散らばっていて、何があったのかは簡単に想像できた。
ーーこれは放ってはおけない。
一歩踏み出した足は慧と完璧に揃った。
「こんな所で何やってるんだ」
「え」
「あ……生徒会の……」
いけない事なのは流石にわかっているらしい。五人はバツが悪そうに黙り込む。でも、それで許してはいけない。
「何をやってたの?」
冷たい声は自然と出た。
1年生と8年生。年齢がこれだけ違えば、身長も顔つきも今までの経験だって違う。集団でしか相手に向かえない生徒が、怒りを隠しもしない8年生達に立ち向かえる筈もない。
言葉より足が動く方が早かった。
「何でもないですっ!」
「な!」
「帰るところですっ!」
五人は脱兎の如く叫びながら走り去る。逃げ足だけは早くて、捕まえるには全力疾走が必要そうだ。でも。
「流石1年。爪が甘いな」
「ね……」
五人は普通科の寮を越え、一目散に体育科の寮へと走って行く。やがてその姿は寮の入口に消えて行った。
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