四、

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 次の日の教室はある意味壮観だった。 「うっわ……」  入った瞬間変な声が漏れたけど仕方ない。こんなの入学してから初めてだ。 「ボイコット?」 「だろうな」 「ま、風通しはいいねー」  クラスの四分の一以上が空席。先端技術科と華を除いたAランクは誰もいないし、Bランクも半分はいない。残ったBランクや尚人達は居心地悪そうにしていて、戸塚達数人だけが楽しそうに会話を弾ませている。  しかも、この現象はこのクラスだけではなかった。 【咲希先輩ー! クラスメイト半分くらいしかいませーん!】 【なんか十人以上休みなんですけど】 【どこのクラスも人全然いません!】 【体育科と普通科の高ランク、結託してボイコットしてます! 特進科もいませんけど!】  ひっきりなしに携帯が震えてメールの受信を知らせてくれる。開いても開いても書いてあるのは同じような内容ばかりだ。 「華、普通科も皆でボイコットしてるってよ?」 「うん、昨日の夜盛り上がってたよ? 勉強遅れてもいいなら勝手にすればって言っといたわ」 「華……」  生徒会役員でAランク。寮長にもなれただろうに、他人にあんまり興味ないの一言で7年生に寮長を譲って副寮長に収まった華らしい。  思わず苦笑いを浮かべたところで、前方の扉が開いた。 「授業を始め……」  鈴木先生の足は教室に一歩踏み入れたところでピタリと止まった。明らかに生徒が少ない教室に戸惑いを隠せていない。  そして何やら携帯を確認したかと思えば。 「緊急で職員会議を行います。自習をしておいてください」  それだけ言い残して、足早に今来た方へ戻って行ってしまう。
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