四、

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 先生の足音が遠ざかり、そして聞こえなくなった瞬間、前方の席が跳ね上がった。 「よっしゃ!」 「授業もないとか最高だな!」 「ね! 今ならラウンジとかも誰もいないんじゃない⁉︎ 遊びに行っちゃう⁉︎」  何人もが勢いよく立ち上がり、反動で教科書やノートが宙を舞う。ここにAランク達がいない事への喜びを隠しもしないその姿に眉を顰める。  だけど、何か言ってやろうと大きく吸った息は、吐き出す前に意味を失った。 「やめよろ!」  声をあげたのは尚人だった。 「お前らさ、クラスメイトがいないのを喜んで恥ずかしくないのかよ!」 「何だよ! やっと雑用から解放されるんだぞ⁉︎」 「散々馬鹿にした態度をとってきたのはあっちだろ。いないのを喜ぶくらい当然だろ⁉︎」 「お前らだって反乱軍だったんだから気持ちはわかるだろ!」  非難された事が堪らないのか、尚人に向かう口調はどれも強いもの。それを中澤理沙が遮った。 「私達はあの時の事、恥ずかしいと思ってるよ」 「うん」  吉川めぐも真っ直ぐそちらを向いて頷き。 「大体さ、やられたからやり返すって言うなら何で何もしてない後輩のAランクにも強く当たったんだよ。ただの八つ当たりじゃないか」  大川達哉も加わって。 「確かに他人を馬鹿にすんのはよくないけどさ、それでもあいつらは人に言える立場なわけだろ。俺なんて頑張っても一度もランク上がらなかったし、高ランクの奴の勉強時間とか尊敬する」  尚人は立ち上がって集団に向き直った。  思いもよらない尚人の言葉。戸塚達は言葉が見つからないのか黙り込み、他の生徒は様子を伺うようにちらりとこちらに視線を寄越した。  
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