四、

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「それは……」 「私も不満ー! 学校中の高ランク経験者がおかしいって言うでしょ!」  ゆっくりと、でも口を挟む間など作らないように捲し立てた。鈴木先生はそれでも何か反論しようとしたけれど、それは華が遮ってくれる。  立ち上がるなら今だ。 「なので、私達も戦う事にしようと思います」  言うと同時に四脚の椅子が音を立てた。今頃隣の教室でも博が同じ事をしている筈だ。 「なっ! 君達まで」 「勉強科目はちゃんと自習します」 「選択科目系は自由を許されるだけのジュエルを集めてますから」  慧だけでなく普段柔和な謙太までもがはっきり告げた事に、クラスメイト達は少し驚いたようだった。 「先生、私達は苛めや差別を産みたいわけではないし、今までの学園がおかしかったというのは重々承知しています。寧ろ学園を変えたくて、ご存知の通りあんな大騒動まで起こしたんです」 「なら何が……」  望みなんだ。先生はきっとそう聞きたいのだろう。 「上から決められた事に従うのはもう懲り懲りなんです」  慧の声にはほんの少しの呆れが見え隠れする。 「もう誰も傷つけたくない、皆で笑って卒業したい。それだけです」  対して謙太は緊張まじりの固い声だ。 「私達の望みは、学園のこれからを生徒自身で決める事です」 「え……?」 「決め方はまだ考え中ですけど、高ランクを優遇するのでもなく、低ランクを守るのでもなく、なるべく多くの生徒が納得できる形にしたいと思っています」
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