四、

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 とうとうやって来た日曜日は朝から学園中が落ち着かなかった。 「とうとうだねー」 「いるんですかね?」 「うちのクラスはそれっぽい子何人かいたよ」 「うちも! 出したって騒いでる奴いました!」 「え、本当っ⁉︎」 「寮からだけじゃなくてクラスの仲いい人からも出てほしくないなあ……」  先端技術科ではほとんどの寮生が朝食の後も談話室に残ったし。 「誰か行ってるの見た⁉︎」 「いや……」 「希望者は流石にもう行った後なんじゃないか?」 「でもほら! 駆け込み? ギリギリまで考えてたけどやっぱって人いそうじゃない?」  通学路やショップ街には他寮の生徒が溢れていた。  話題は退学希望者一色だ。  今日の正午までなら退学しても編入先の面倒まで見てもらえる。前のようにかかった費用の返済を求められる事も、家族の今後をちらつかされる事もない。  今まで虐げられていた低ランク、学園の変わり方が許せない高ランク、昨年決まった筈の進路が断たれた生徒、昨年恐怖を味わった生徒。考えただけでも候補はたくさん出てくる。  ーーだから、間に合って良かった。 〈皆さんおはようございます。生徒会長の結坂咲希です。これは生徒会からの緊急放送です〉  午前九時。学園中に声が響き渡った。
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