四、

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 流石は学園本部と言うべきか、放送室には小難しそうな機械が並んでいる。初めて許可を取って入ったおかげで、機械の操作は全てやってもらえたし、ドリンクまでついてくる高待遇。 〈皆さんがご存知の通り、退学希望の生徒は本日の正午までに名乗り出る事になっています。その上で皆さんにお伝えしたい事があり、このような時間を設けさせていただきました〉  この放送に全てがかかっているかと思うと緊張しそうだけれど、隣を見れば慧が頷いてくれる。頷き返して再びマイクに向き直る。 〈私達生徒会はこの学園の在り方を変えます。政府や新しい学園の職員の方々と話し合い、許可も貰いました〉  声はすんなりと出た。 〈まず、昨年の校則は全て撤廃し、生徒全員で新たな学園を作っていきます。最初は生徒会から週に一つずつ案を出し、全校生徒に賛成か反対か投票してもらいます。過半数で可決。どちらに投票したかは絶対に他の生徒に漏らしませんし、どちらに投票したとしても学園生活に悪影響を及ぼさない事を約束します。翌月以降は皆さんから希望や案を募集し、それも順番に投票してもらいます。どんな内容でも握り潰す事はありません〉  ゆっくり、高過ぎず低過ぎない聞き取りやすい声で。なめられないように焦りは禁物。 〈おそらく、皆さんそれぞれ学園に対して不満があると思います。私達にもあります。だから今まで戦ってきたんです〉  一人でも多くの生徒の心に残るように語りかける。
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