四、

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〈今回の施策もあくまで多数決です。全員の希望通りになるわけではないし、きっと何かしらかの不満は残ると思います。でも、自分達で案を出して自分達の手で変えられる、それだけでも大きな一歩だと思います〉  色んな案を話し合ったけれど、全員が納得できる方法なんて考えつかなかった。きっとこの世に全ての人の思い通りにする方法なんて存在しない。  でも、より良くはしていける。 〈この学園に入ってから辛い事がたくさんありました。でも私はこの学園に入って良かったと思っています。この学園に入ったからこそ大切な人達に出会えたし、辛い事以上に楽しい事や嬉しい事がたくさんありました。そして何より、この学園に入らなければこんなに努力する事も強くなる事もできませんでした〉  たくさんの思い出が蘇る。  1年生の時はジュエルゲームに巻き込まれて普通科に行く羽目になった。秀樹お兄さんは怖かったし、まどかお姉さんは何を考えているのかわからなかった。最後は由羅には裏切られたし、一樹も怖い言葉を残していなくなってしまった。  2年生の時は兄弟との関係に一番悩んだ年だった。心菜は入学してからも我儘三昧だし、尚人は反乱軍なんて名乗って好き放題だった。由羅との距離もまた開いてしまった。でも、ここまでは姫や康介達に守ってもらった。  3年生からは寮での選択授業の難易度がぐっと上がった。柚子先輩と蓮先輩につきっきりで教えてもらって、一通りの事はできるようになった。この年がなければ学園を抜け出す事も亜実先輩達を助ける事もできなかった。柚子先輩がレクをたくさん企画してくれたおかげで、びしょ濡れになったり泥まみれになったりしたのもいい思い出だ。  4年生の時はZのせいで健司先輩と亜実先輩、眞子がランク落ちしてしまった。由羅がその一員だと知った時はショックだったけど、最後には昔の優しくて強いお姉ちゃんに戻ってくれた。春奈さんと出会ったのもこの年だ。最初はお互い遠慮ばかりだったけど今では何人目かもわからないお姉さんだ。  
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