五、変わりゆく日

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五、変わりゆく日

 時間はあっという間に過ぎていく。6月が終わり、梅雨が終わり、定期テストが終わると、やって来るのは。 「やったーっ!」 「ジャイプルーっ!」 「先輩達ありがとうございまーす!」  楽しい夏休みだ。1年ぶりのジャイプル、そして全員揃ってのドリームランドとくればテンションが上がらないわけがない。 「はしゃぎ過ぎて転ぶなよー?」 「はーい!」 「荷物置いたらどこ行く⁉︎」 「ほんと楽しみーっ!」  博が声をかけても何のその。バスが停まった瞬間に、特に元気が有り余っている寮生達から駆けていく。  入口では例年と変わらずずらりと並ぶホテルのスタッフ達が出迎えてくれた。 「お待ちしておりました。先端技術科の皆様ですね。代表者様は一条慧様」 「はい」 「どうぞこちらへ。ウェルカムドリンクをご用意しております。お荷物はお任せください」 「お願いします」  ーーそう、何も変わらない。 「これが学園の中……」 「すごっ……」 「ここに泊まるの?」  吹き抜けの天井に至る所に散りばめられた金や大理石、海外リゾートをイメージした緑の数々。1年生が口を開けてしまう程の煌びやかな内装も。 「お待たせ致しました。今回も並びで一条様、結坂様のお部屋をご用意しております」 「ありがとうございます。今回も私がこっちでいい?」 「ああ、荷物確認したらそっちに行く」 「うん」  スイートルームも。 「御夕食は午後七時でお間違いありませんか?」 「はい」 「では離れのレストランにてお待ちしております。本日は和食を中心にご用意させていただきました。旬の鰻や穴子をはじめ、車海老や鮑、毛蟹や雲丹も本日各市場から仕入れております。お肉は黒毛和牛のヒレやサーロイン、鴨と子羊をご用意しております。天ぷら、鉄板焼き、炙り、全て皆様の目の前で仕上げさせていただくようご用意しておりますがよろしいでしょうか」 「はい、それでお願いします」  特別対応も何も変わらない。  荷物を確認して一息ついたら寮生を見廻るためにも一度部屋から出る。そして慣れ親しんだラウンジに来て、ようやく変化を実感する事ができた。 「一条慧様、Aランクでいらっしゃいますね。ご案内させていただきます」 「はい」  私達のサイトにSの文字が書かれる事はもう二度とない。
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