五、変わりゆく日

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 もういき過ぎたご褒美や特権はない。何でも仕入れてくれるショップ街の特別店もなければ、高ランクしか入れない場所なんかもなくなった。たまにこんなおまけがあって、少しお小遣いが高くて、年に二度、ショップ街にある物なら何でも引き換えられるチケットが貰える。  AランクとBランクとCランク。三つのランクの差はぐっと縮まった。  でも、きっとこれでいい。 「先輩達はこれからどうするんですか?」 「あ、私当てます! プールデートだ!」 「残念でした! 私達はこれからレクの打ち合わせです!」 「えー」 「なーんだ」  先端技術科の寮生が誰一人欠ける事なく笑っている。休み明けの教室に空席は一つもなかった。他の寮も学年も、退学を選んだ生徒はごく僅かだった。 「盛り上がるレクを考えてるからお楽しみにね!」 「何やるんですか⁉︎」 「言ったら楽しくないだろ」 「でも全校生徒参加イベントなんですよね⁉︎」 「そー!」 「楽しみー!」  もしこれが間違っていたのなら、今度は可愛い後輩達が学園を変えてくれる。だから今はこれでいい。 「とっとと食べて行くぞ」 「うん。あ、このオレンジの好きでしょ? 食べてね」 「ああ、貰う。どこから行く?」 「うーん……きっと今頃ショッピングモールは混んでるよね」  これからを考えるのが楽しくて楽しみで仕方がなかった。
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