五、変わりゆく日

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 仮設テントと言ってもここはネデナ学園。しかもAランクで生徒会長・副会長用ともなれば学園がそれなりの物を用意してくれる。 「懐かしいな」 「そうだね」  たった一日用意されたのは6年前運動会を楽しんだガゼボだった。あの時は先端技術科皆で使ったけれど、今日は二人。賑やかだった内部が随分広く感じる。 「姫が奥で紅茶飲むの、ほんとに様になってたよね」 「仕出し弁当嬉しかったよな。目の前でカツ揚げてくれるやつ」 「嬉しかった! 他の寮が仲悪かったから尚更ね!」 「園香先輩がいたとはいえ、今考えると全体の企画から寮生のための手配までやってくれてたってすごいよな」 「ね。康介はどこまでやってたのかわからないし」  大好きな先輩達が用意し、寮生皆を笑顔にしてくれた懐かしいガゼボ。憧れていた先輩が寮の象徴のように座っていた一番奥のソファー。そんな場所に自分達がいるなんて変な気分だ。  だけどビデオ機材や通信機器は当然のようにソファー前のガラステーブルに設置されている。トロピカルティーや高級クッションまで用意された特等席に有り難く座らせてもらう。  ビデオ機材に生徒会のパソコンを繋ぐと、画面はすぐに切り替わった。現れたのはドリームランド中の監視カメラのリアルタイム映像だ。一度に最大十六個のカメラ映像を見る事ができて、一個に絞るのも別のカメラに切り替えるのも自由自在。余程の小声でなければ音声も拾う優れもの。 「まずは……っと」  最初に目に入ったのは綺麗なブロンドヘアだ。
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