五、変わりゆく日

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〈なら、少しくらい別行動したって〉 〈ルール説明聞いてなかったの? 分かれたら失格なの〉 〈……私といるとこ、見られたくないんじゃないの〉 〈あのさあ、咲希の事だからガチでランダムなチーム分けなわけ。それに、あの子が私の嫌いな子と仲良くしないでとか言うと思ってるの?〉 〈……まあ言わないだろうけど〉 〈でしょ。ならさっさと一つ目行くよ。満点の星空の下……? プラネタリウムかな〉    華は話を切り上げるためだろう、わざとらしく大きな独り言を言ってみせた。真沙子はそれでもなお動かない。高性能な監視カメラは大きなため息の音すらばっちり拾い上げた。 〈そんな顔するなら最初からやらなきゃいいじゃん〉 〈……私だって黒歴史だって思ってるよ〉 〈あっそ。なら謝れば?〉 〈今更過ぎるでしょ。何年前の事だと思ってるの〉 〈ちっさ。あのさあ、あんたの事以外にもあれだけ色々あったのに折れずに自分から特権廃止しちゃうような咲希だよ? そんな小さな事気にすると思ってるの? それなら卒業までそう言ってれば。行こ〉  その言葉と共に最初に華が、続いて大川と普通科の男子が、少し遅れて特進科の女子が画面から消える。真沙子は一瞬迷ったようだった。だけど先程の華の言葉を思い出してか、小走りで後を追う。 「華……ありがと」  自然と口角が上がった。
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