五、変わりゆく日

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〈そっかぁ……先輩達の事だから、1年生でもわかるような簡単なヒントだよね〉  佳那はそんな心菜を気にする様子もなく、歩調を合わせて隣を歩いてくれる。そのまま数歩歩いただろうか。 〈……あの時はごめん〉  心菜の声はしっかり届いた。 〈え?〉 〈ほら、1年の時……〉  それだけで何の事かはすぐにわかった。グラウンドの物陰で佳那に迫っていた姿は、忘れたくても忘れられない。気まずげに視線を逸らす心菜に何と返すのかと思いきや、佳那は勢いよく首を横に振った。 〈ううん、謝らないで。……私こそ謝らないとって思ってたの〉 〈何で〉 〈咲希先輩の事をお姉ちゃんみたいに思ってくっついてたけど……それを見て結坂さんがどう思うか、全然考えられてなかった。私だったらお姉ちゃんをとられたみたいで嫌だっただろうなって〉 〈……別に〉  二人の間には気まずい沈黙が流れた。足も自然に止まる。そこはちょうどピンク色が目立つ可愛らしいショップの目の前だ。流行りの看板に気づいた佳那が声を弾ませた。 〈ね、タピオカ好き?〉 〈え、まあ……〉 〈仲直りの印に一緒に飲まない⁉︎〉  何を言い出すかと思えば、お茶のお誘い。心菜は目を丸くする。でも。 〈いいけど〉  その返答に佳那の表情はパッと明るくなった。  一向に追いついてこない二人を不審に思ったのだろう。 〈どうしたー?〉  チームメイト三人も一度は通り過ぎた店の前に戻って来た。  そこからは願っていた通りの展開になった。
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