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先端技術科のテント目前で合流した二人は、当たり前のように手を繋ぐ。哲平が京子の手を引き、京子もそれを受け入れて、すごいスピードでゴールまで駆け抜けた。そして。
〈ゴール! 最終レース一着は先端技術科です!〉
その瞬間、二人は揃ってガッツポーズを決めた。
〈カードは何ですか⁉︎〉
〈卒業後もずっと仲良くしたい同級生です!〉
〈京子先輩は卒業後も哲平先輩とずっと仲良くありたいと⁉︎〉
〈そうでーす!〉
京子の元気な返答に、先端技術科のテントはざわめいた。
まさか京子がそんな事を思っているなんて知らなかった。しかも哲平は驚いていないから、既に気持ちは通じ合っているのだろう。
ーー本当にいつの間に……。
「京子先輩教えてくれないなんて水臭いー! 咲希先輩、絶対お祝いしましょうねっ!」
「そうだね!」
京子と哲平が結ばれたなんて祝わないわけがない。興奮で足をばたつかせる眞子に、こちらも勢い良く頷いた。
だけど京子は戻って来るなり、そんなお祝いムードを笑って一蹴した。
「そんなわけないじゃないですかー!」
「気を使ったりしないでね? 誰も揶揄ったりもしないよ⁉︎」
心配してみても、その満面の笑みは変わらない。代わりに苦笑いを浮かべた哲平が真相を教えてくれた。
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