五、変わりゆく日

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「俺達の間に恋愛感情なんて一切ないですよ。こいつ、足目当てで俺を選んだだけです」 「え⁉︎」 「そうでーす! でも卒業後も哲平とずっと仲良しでいたいのは本当ですよ!」 「手を繋いでたのは⁉︎」 「始まる前に言われてたんです。よっぽどの事がない限り俺を呼ぶから、手を引いて走ってくれって」 「哲平足速いじゃないですか! 絶対勝ちたくって!」  京子は語尾に星マークでもつきそうなくらいご機嫌で、嘘を言っているようには見えない。しかも親指をぐっと立てて付け加えた。 「いやーお題が哲平に当てはまるので良かったです! 流石に卒業後もずっと一緒にいたい人とかだったら色んな人に勘違いされそうなんで佳那迎えに来ます!」 「そっか…………ん?」  今何か大事な事を聞いた気がする。けれど、結論に辿り着く前に首を横に振る哲平によって遮られた。 「咲希先輩、それ以上突っ込まないでください。長くなります。次の競技始まります」 「え、あ、うん……」  男子生徒が同級生の女子生徒に振り回されるのは先端技術科のお決まりらしい。  大運動会は歓声・悲鳴・絶叫、様々な声の中で進んでいった。  借り人競争の次は1〜3年生のドッジボール。これは先端技術科の男子達も健闘してくれたけれど、驚く事に特進科が二勝して勝利を掴み、その次の4〜6年生の二人三脚では先端技術科が一位を奪還した。  障害物競争は男女別で行って、男子の競技では壁登りやドリブルダッシュといった力や運動神経が試されるものを多めに、女子の競技では更衣室での早着替えやピンポン球運びといった器用さが試されるものを多めに入れた。これが大正解で障害物競争は今までにない大接戦。結局男子は体育科が、女子は普通科が勝利を手にした。
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