五、変わりゆく日

25/40

446人が本棚に入れています
本棚に追加
/218ページ
 泰雅のファインプレーのおかげで目利き競争は先端技術科の勝利に終わった。ここまでの合計得点も首位。だけど他の寮との差も僅かで、全ては最終競技で決まる事となった。  最後の競技は八人リレーだ。  ルールは簡単。各寮、各学年から一人ずつ、男女四人ずつになるように選手を出して、百メートルずつ走ってバトンを繋ぐ。  先端技術科からは。 「じゃあ、お願いね!」 「はい!」 「行ってきます!」  特に足が速い哲平とコウキを中心に、慧や眞子、花梨達オールスターだ。 「一番手どうする?」 「やっぱり最初と最後の方に固めたいですよね」 「コウキ、スタート頼めるか? その後花梨、眞子」 「はい!」 「了解です!」 「最後俺からの慧先輩でいいですか?」 「哲平、こういうところで気を遣うなって。絶対お前の方が速いんだから、アンカー任せたぞ」 「はい!」  与えられた五分の中で順番を決めて、位置につく。 〈位置について……用意〉  コウキはピストルの音と共に飛び出した。2年生のコウキは決して身長が高いわけではない。周りを高学年に囲まれて、スタート時点では埋もれてしまっていた。だけどスタートしてすぐ頭一つ前に出たかと思えば、数十メートル走ったあたりでコウキの全身が露わになる。 「コウキーっ!」 「いけっ!」 「いけるよーっ!」  自然と応援の声にも力が入る。そして。 「先輩っ!」 「うんっ!」  先端技術科のバトンが最初に繋がれた。
/218ページ

最初のコメントを投稿しよう!

446人が本棚に入れています
本棚に追加