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準備が進む社交場を見回していると、奥から博と華が現れた。
「お疲れ」
「咲希!」
華とは今日初めて会うし、博も華を迎えに行ってそのまま会場入りしたから朝食以来。二人のドレスアップ姿を見るのは今年初めてだ。二人の姿に自然と顔が綻んだ。
華は自分が映える姿をよくわかってる。ドレスは深い紅色のロングドレス。腰の部分を絞ったシンプルな形は大人っぽい華の雰囲気によく合っているし、肩と裾部分に重ねられたチュールは華の女性らしさを際立たせている。そしてドレスがシンプルな分、大ぶりの紅と青のビジューイヤリングの存在感が強くて長い首筋やデコルテを強調していた。
対する博は紺のタキシード。よく見ないと黒と見間違える程の深い色は落ち着いた雰囲気を好む博らしい。そのポケットに添えられたチーフの色は華のドレスと全く同じで、二人の新しい関係を知らしめる。
「華! 可愛い! 美人!」
「咲希は控えめに言って女神だから! もう何目指してんの⁉︎」
「何も目指してない! 写真撮っていい⁉︎」
「一緒に撮ろうよ!」
親友の綺麗な姿を見てテンションが上がらないわけがなく。お互いの手を取り合って飛び跳ねる。
だけど、対する男性陣はパートナー達の興奮なんて我関せずだ。
「早かったな。結構前に着いてたのか?」
「いや、ちょっと前。今裏も見てきたけど、日持ちする景品は大体揃ってた」
「了解」
「寮は?」
「哲平達が音頭とってる。時間ピッタリに来るってさ」
「わかった」
あっという間にお互いの情報を共有して現状確認をしてしまう。
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