五、変わりゆく日

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 パーティーは六時ピッタリに始まった。オーケストラの演奏が始まると同時に、七面鳥にターキーレッグ、ステーキに頬肉の煮込み、ローストビーフ、パークカツレツに鴨肉と肉料理だけでもこれでもかという量のご馳走が出てくる。それらは手前の部屋に収まる事なく通路や屋外テントにまで並べられ、生徒達の心を鷲掴みにした。 「やっば! 美味しそう! すごいですね!」 「あっちにコウキが楽しみにしてたローストビーフもあるからね。シェフが目の前で切り分けてくれるやつ」 「本当ですか!」 「やった!」 「1年生の子達の面倒も見てあげてね」 「わかってます! 皆、行こう! ほら歌も!」 「うん」  1・2年生達はコウキを中心にご馳走に向かって一直線。それを合図に他の寮生達もダンスフロアや食事、外の探検へと思い思いに散らばっていく。 「じゃあ俺らも」 「行ってきまーす!」 「テント行ってみよう!」 「気をつけてね」  寮生達を粗方見送って、その場に残ったのはまとめ役を頼んでいた上級生達だ。 「お疲れ様!」 「お疲れ様です!」 「ありがとね、何も問題なかった?」 「大丈夫でーす!」 「皆いい子でした!」    薄い黄色と鮮やかな青。二人によく合う色違いのドレスに身を包む京子と佳那は今年も哲平と謙太と共にやって来た。今年は一人参加や同性との参加、グループ参加も歓迎と書いたからてっきり二人で参加すると思っていた。本人達にそう言えば。 「え、でも謙太先輩と哲平の二人参加きつくないですか? 私それは見たくないかも」 「京子とも踊りたいですけど、謙太先輩や哲平とも踊りたいので」  困ったように、でも真剣に言い切られたのはいい思い出だ。
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