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そしてもう一組。
「すみません、俺手伝えなくて」
「いや、寮の事頼んだのはこっちだから。あ、でもビンゴの時に手伝ってくれると嬉しいな」
「勿論です!」
「はいはい! 私も手伝います!」
寮の監督をお願いしていた宏太と眞子もバッチリ決めている。宏太は襟元にグレーが入った大人っぽいタキシード姿、眞子はグレーがかったピンクといういつもより色は大人しい、けれど前面に見事な刺繍と花びら飾りが入った華やかなドレス姿だ。
遊びやパーティーは全力で楽しむ生徒が多い先端技術科。例に漏れず楽しい事が大好きな二人の瞳はキラキラと輝いている。
「ありがとう。だけどそれまでは自由にしていてね?」
「七時半の集合までは好きに楽しんでくれ」
そう伝えれば、喜んで駆けて行くと思っていた。でも。
「えー、まだもうちょっとここにいたいなあって。ねえ?」
「なあ」
二人は笑みを浮かべたままどこにも行こうとしない。特に眞子は含みのある笑みで京子と佳那と目配せまでしている。
「何かあるのか?」
「別に何も」
「ダンスに行ってきたら?」
「もう少ししたら行きまーす!」
尋ねても返ってくるのは気のない返事ばかりで、慧と顔を見合わせた。
そんな時だった。
「咲希先輩! 慧先輩! 来てください!」
泰雅と共にパーティーの雑踏に消えて行った珠里が血相を変えて駆けて来た。
「どうしたの⁉︎」
「お願いします! 早く来て下さい!」
可愛い寮生の尋常じゃない様子を前に、迷うなんて選択肢は生まれない。返事をする前に珠里の下へと小走りで駆けつける。
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