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エピローグ
「遠くまで来たよね」
「相変わらず姫の行動力半端ないよな」
イルミネーションで彩られた並木路を歩きながら囁き合う。手はしっかりと繋ぎ合った。
学園なら手を繋いで外を歩くなんて恥ずかしくてできなかったけれど、ここでは気にならない。クリスマスムード一色の道にはカップルが溢れているし、そもそも隣の相手しか見えていない人がほとんどだ。
卒業後の進路を話し合って出た結論は『世界を知ろう』だった。ネデナ学園で様々な経験はしたけれど、同時にネデナ学園の中しか見てこなかった。世間の普通も、入学から八年経った社会の今も何もわからない。
将来の事はまだぼんやりとしか考えられていないけれど、慧のお父さんの会社の事もあるし、お祖父さんの会社を必死で立て直している一樹達の力にもなりたい。
そのためには広い世界を見る事は絶対に必要だと思ったし、経済や経営の知識も学んでおきたい。
だからまずはアルバイトでお金を貯めながら色んな所を見て回って、その上で大学に編入か留学しようと思います。家族が集まった場で報告すると、姫から返ってきたのは予想もしない言葉だった。
「なら私達の会社でインターンとして働けばいいじゃない」
曰く、確かに学校でしか学べない事もあるけどそれはもう十分過ぎる程学んだでしょう? だ。
説得力のある言葉はその場にいた咲希と慧以外の全員に受け入れられて、二人を置いてきぼりにしたままトントン拍子に話が進んだ。
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