番外編2

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 挙式代を払ってもらう事に心が痛まないわけではないけれど、払いますと言っても払わせてと返されて、 話は平行線を辿るばかり。春休みは待ってはくれない。四人には後でうんと恩返しする事にして、準備を急ぐ他なかった。  せっかく来てもらうからには皆に楽しんでもらいたい。  姫や園香先輩、柚子先輩に、まどかお姉さんや春奈さん。産休中の海里先輩の力まで借りながら、場所や衣装、料理にテーブルセッティング、お花と様々な物を決めていく。  でも、挙式まで一ヶ月、ほとんど決まったというタイミングでふと思ってしまった。 「ねえ、これでいいのかな……?」 「それ、俺も思った」  素敵なチャペルでの神前式に、煌びやかなホテル会場での披露宴。花畑のような中庭が人気のカフェレストランでの二次会という名のお茶会も用意してあるから、楽しい事は間違いない。  だけど、何かが違う。何かが足りない気がした。  そして、それは慧も同じ。 「やるか」 「やろう」  笑い合い、頷き合う。それ以上の言葉は必要なかった。
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