二、

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「会いたかった」 「私もぉっ……」  やっと出た言葉はそれだけだ。  最初は二人、きつく抱きしめ合った。  途中で入れろ入れろと顔を押し付けてくるジスランを間に挟んで、またすぐ抱きしめ合う。  出会って七年。毎日一緒に食事をして、毎日一緒に通学した。慧が普通科にいた時だって毎日ビデオ通話で顔を合わせた。会わなかった日は片手で数えられる程で、隣にいるのが当たり前だった。  懐かしく思う日が来るなんて思ってなかった。  でも今は鼻腔をくすぐる匂いすら懐かしい。懐かしくて嬉しくてほっとして、勝手に涙が溢れそうになる。ま    それを誤魔化すように肩に顔を埋めたまま口を開いた。 「どうやって、ここに来れたの……?」 「賭けたんだよ。あの地下通路、出口の反対側はバスの所までしか行ってなかったろ。もしかしたらと思って歩いてきた」 「……すごくかかった?」 「……夕食後すぐ出て今だな」  今が何時かはわからないけど、それはつまり少なくとも五時間近くは歩いて来てくれたという事で。 「ありがと……会いたかった……」 「ああ」  今度こそ涙を抑える事はできなかった。溢れた涙が慧の服を濡らしていく。 「飯は」 「……食べてる」 「変な事されてないか?」 「過密スケジュールで勉強はさせられてるけどそれだけ」  答えると耳元でほっと息が吐かれた。
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