446人が本棚に入れています
本棚に追加
そして。
「いいよ、協力してやる」
城之内が再びやって来たのはその夜の事だった。
不貞腐れた表情でいきなり入って来たと思えばその台詞。だけど怖さは感じない。
「ありがとうございます」
「それで? どうするって?」
「具体的にはまだ何も。二人の目的がわからないので」
だからこそ、真っ直ぐ目を見てはっきり言い切れた。途端に眉間の皺が深くなる。
「は? 人に偉そうに言っておいて?」
「はい」
「何だそれ」
「中間目標とゴールは決まってます。学園で起きている事を公表して、これ以上二人の思い通りにはさせない。それで私は跡取りにもならないし、学園に戻って卒業して、好きな人と生きます。城之内先輩にとっても、二人に一泡吹かせられるっていうメリットはある筈です」
二人の思い通りにはさせない、させたくない。共通点はただそれだけだ。それ以上でもそれ以下でもない。
「それには二人の目的を知る必要があると思います。だからまず二人の目的を調べるのに協力してください」
間髪入れずに喋り切る。
城之内はそんな咲希を何も言わずに見下ろした。だけどそれも少しの事。
「あの人は昔から何を考えてるのかわからない。俺にも勉強の進捗確認以外の話は滅多にしないからね」
そっぽを向いたかと思えば、捲し立てるように話し出す。
「それじゃあ」
「でも、無駄が嫌いなあの人がネデナ学園には定期的に足を運ぶんだ。前は俺達や君の様子を見ているのかとも思ったけど、今もそれは続いてる。どういう事だろうね?」
最初のコメントを投稿しよう!