二、

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   まどかは何も聞いていないらしい。完成した姿で出迎えると開口一番。 「……驚いた、花園のお花ちゃんがひとり立ちね。桜子ちゃんを初めて見た時を思い出すわ」  なんて笑う。  そして昼食の用意が終わり、使用人達が下がったところで再び開いた扉に目を見開いた。 「秀樹」 「やあ」  二人の第一声はそれだけだ。  それぞれと会う事は何度もあった。だけど二人が揃っているのを見るのは1年生の時以来。懐かしい光景だ。なのにお互い喋ろうとしない。 「あの……」  咲希が沈黙に耐えかねて口を開いた瞬間、口火を切ったのはまどかだった。 「この子に何する気? 逆恨みは男らしくないわよ」  いきなりの攻撃的な言葉に城之内も対抗する。 「随分な言い草だな。久しぶりに会った寮長に久しぶりの一言くらいないのか? しかも俺がそんな小さな男だと?」 「あら、あなたならやるでしょ? 信用してるのよ」 「信用? 過小評価の間違いだろ」 「間違ってる?」 「間違ってる」  あまりの早口に口を挟む隙もない。しかも首を絞められたのだから、間違っていない気すらする。どうしたらいいか戸惑ったけど、とりあえず。 「あの! 時間ないんですよね⁉︎ それに赤ちゃんに悪影響だからやめてください!」  まずはそこからだ。  咲希の言葉に目を見張ったのは城之内だ。 「赤ん坊?」 「はい」 「……ああ、だから連絡しても返さなくなったのか。お前も趣味悪いな」 「五月蝿いわね。あなたとほぼ同じでしょ」  二人はそれだけで通じ合ったらしい。やがて同時に息を吐いた。
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