二、

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「で? この子に何の用」 「これからこいつを連れて学園に戻る。次の授業はビデオ鑑賞で講師は来ないから、まどかはできるだけこいつの不在がバレないように取り繕ってくれ」 「は?」 「それくらい余裕だろ」  城之内はそう言うと、小さく咲希を手招いた。テーブルいっぱいに用意された豪華なランチセットには少しも手をつけられていないけど、仕方ない。テーブルや食器に触れないように立ち上がる。 「……平気なの?」  まどかは心配そうに囁いた。 「はい。協力してもらうんです」  それに呆れてみせたのは城之内だ。 「何もしない。どれだけ絆されてるんだよ」 「あら、優秀な後輩ちゃんは可愛いものでしょ?」 「まどかはそれだけじゃないだろ」 「あなたこそいつの間に絆されたの?」 「可愛い従姉妹なものでね」 「憎い従兄弟達だったくせにね」  話している内容は穏やかじゃない。でも話しているうちに二人の口角は上がり、口調も軽くなる。まるで七年前に戻ったみたいだ。やがて。 「わかったわ。何をする気か知らないけどできる限り引き伸ばしてあげる」  まどかはSランク仕込みの綺麗な笑みを浮かべてみせた。 「よし、行くぞ」 「はい。まどかお姉さん、よろしくお願いします」 「ええ。……もう先輩じゃないのだし、敬語じゃなくていいわよ。気をつけてね」  その表情から、言葉から、心配してくれている事、想ってくれている事が伝わってきて。 「は……うん!」  力強く頷いて、城之内の後を追った。
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