二、

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 はじまりの家の中は少し埃が舞っていた。昔は寮生や寮のメイドさん達が換気に来ていたけれど、閉鎖されてからは行けていなかった。でも、キッチンもテーブルも昔のまま。園香先輩に連れられて、初めて姫と出会ったあの時のままだ。  部屋の中を見回しながら外へ出ると、時刻はちょうど午後一時過ぎ。太陽の光ぎ燦々と照り付けている。久しぶりに感じる夏の暑さと眩しさに思わず目を細めると、横から冷静な言葉がかけられる。 「さあ、これからどうする?」  ここからが問題だ。 「お祖父さんの目的を調べます」 「だからどうやって」 「みんな授業中ですよね?」 「ああ。だから教師や生徒に見つかる心配はないだろうが、各所に監視カメラもある。見つかれば即連れ戻されて、もう二度とここには戻れない」 「わかりました」  学園に何かがあるとわかってからずっと考えていた。学園のシステムはよくできてる。パソコン、携帯、電子キー。色んな物があってネットワーク環境も整ってる。でも、整い過ぎてる。  外部のネットワークには絶対に繋がらない。どんなに外に助けを求めたくても、現状を伝えたくても、独自のネットワーク回線を使っているから外には何も送れない。反対に外から中を探ろうと思っても、きっと何もできない。  ネデナ学園はまるで外とは別世界のように外から切り離されている。  でも、裏を返せばネデナ学園の中なら同じネットワーク回線だ。 「大丈夫です」  それならば、私達先端技術科が負けるわけがない。
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