二、

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 三個目のファイルは学校内の見取り図だ。色々な記号があるから何かと思えば、点在する丸印はさっき確認した監視カメラの位置と一致するし、先端技術科の玄関には赤で×印が入っている。そして極め付けは同じ赤色で学園内三箇所についている⭐︎印。意味を持たないわけがない。  八個目のファイルは音声データだった。携帯で盗聴したのだろう生徒の会話が記録されていて、次のファイルに生徒の違反内容や反省棟に入れられた期間まで事細かに残されている。  そして十二個目のファイルには……。 「何だこれ」 「知らなかったんですか」 「……ああ」 【公民社党より1億5000万円】 【三つ葉証券株式会社より1億円】 【東京産業銀行CEO江田川氏より2億円】 【ネデナ学園維持費余剰金より9500万円】  莫大な資金の流れが記録されていた。スクロールしてもスクロールしても政治家や大企業のトップ、そして咲希でも知っている大企業自体の名前が永遠と並んでいる。  二年前に終わったと思ったと思った裏金は、寧ろ額を増やして続いていた。 「城之内グループにこんな資金は入ってきてない」  城之内はパソコンを覗き込みながら苦々しげに舌打ちした。 「……ネデナ学園に隠されてるんじゃないですか?」 「どこに……って」 「そうだと思います」  思い浮かんだ場所はきっと同じ。さっきの地図で×がついていたのは前の裏金の隠し場所だ。という事は同じ色で書かれた⭐︎マークは。 「行ってくる。カメラは切れるか?」 「録画映像に切り替えて、私のパソコンにだけ現在の映像が記録されるようにならできると思います」 「それでいい」  それだけ言うと、城之内は足早に外へ出て行った。
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