二、

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 それでもはやる気持ちはアイスティーを飲む事で何とか落ち着けた。考えてみると柚子先輩直伝アイスティーを淹れるのだって半年ぶりだ。  談話室のドアノブはそれからそう経たないうちに動いた。 「あの……来ましたけど」 「え、誰ですか」  遠慮がちに覗かせた顔は三つとも初めて見るものだ。 「はじめまして。座って座って?」  この子達が1年生。新しい後輩で、新しい家族。手招きすると三人は戸惑いながらも従ってくれた。 「あの箱はあなたですか?」 「うん、そう」  強い目をした男の子に。 「先生とか職員の人じゃないですよね?」 「まだ未成年だから安心して?」  しっかりしていそうな女の子と。 「何でここに……」  二人に比べると大人しそうだけど、真っ直ぐにこちらを見てくれる男の子。今年も素敵な子達が入ってくれたらしい。あれだけそわそわしていたのに自然と頰が緩んでしまう。  最後の質問には答えずに、三人に微笑みかけた。 「ね、この学園はどう? 楽しい?」  答えは返ってこなかった。代わりに向けられたのは疑うような視線だけど、それは想定内。 「監視カメラも盗聴もないわ。そのために携帯も置いてきてもらったの。ここで何て答えたとしても三人に不利益になる事は一切ないって約束する」  それで口火を切ったのは女の子だった。 「軍隊みたいで楽しくはないです」 「おい!」 「だってそうでしょ。寮の中はマシですけど他では高ランクが世界一偉いみたいな扱いだし、将来いい所で働きたい人達は先生の言いなりだし」 「僕も……他の生徒の事を言いつけたら評価上がるみたいなの好きじゃないです」  予想はしていたけれど、やっぱり酷い学園の現実。 「そっか」  それが身内によるもので、そんな所に皆を残してきてしまったんだと思うと堪らない。でも、それも今日で終わり。
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