二、

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 涙は暫く経ってからようやく止まった。まだ少し手が震えているけれど、のんびりもしていられない。 「ありがと、もう大丈夫」  ハンカチ、ハンカチ。自然とポケットに手を伸ばすと、出てきたのは慧から贈られた白いハンカチだった。 「あ、それ……」 「そ。皆とお揃いのやつ。お守りなの」  敢えて慧の方は見ない。照れ臭くて頰に熱が集まるけれど、改めて本当に戻って来れたんだと実感した。 「それで、これからどうするんだ?」  切り出したのは博だ。 「この後ちょっと校舎に行きたいの」 「校舎?」 「え、流石にバレない? 大丈夫なの?」 「咲希、携帯置いてこさせるって事はここにいる事バレたくないんだよね?」 「バレたくはないけど、それ以上に探さなきゃいけない物があるの。説明する時間はないから後で説明するから」  涙を拭いながら答えれば、返ってくるのは戸惑いの声。だけど慧は真っ直ぐにこちらを見た。 「必要なんだな?」 「うん」 「わかった」  しっかりと頷くと、了承が返ってくる。そして周りを見回した。 「この時間に監視カメラいじるのはバレる可能性が高い。カメラは合間を掻い潜って、人の目は俺らが周りを囲んで遮ろう」  そこに一つの声が割り込んだ。 「いくら周りを囲んでも、そんな真っ白いワンピースじゃ見つけてくれって言ってるようなものだろ」
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