二、

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 そして、奥の机の上にはデスクトップ型のパソコンが一台置かれていた。  ーーあれがそうだ。 「俺はパソコンについてはわからないぞ」 「はい」  クラスメイト達に見られたし、監視カメラにもバッチリ映ってる。教師に知られるのも一樹達に連絡がいくのも時間の問題だ。慧と頷き合って机の前へと移動する。無言のまま咲希は清澄先輩特製パソコンを繋ぎ、慧はデスクトップパソコンのキーボードを叩いた。  流石と言うか何と言うか、セキュリティは見た事ない程に強固に設定されていた。当然のようにかかっているパスワードは確認する限り解読には大分時間がかかりそうだし、無理矢理侵入しようものなら学園全体に警報が鳴るようになっている。  仕方なくパスワードの画面まで進んで設定されたヒントを呼び起こした。 【この学園に足りない文字】  現れたのはそれだけだ。 「この学園に足りない文字……?」 「何これ……」 「城之内先輩、心当たりは?」 「いや、ないな……」  慧の問いかけに城之内も首を横に振る。聞き覚えのない言葉に皆顔を見合わせて囁きあった。  そんな中、咲希も目の前の文字を心の中で繰り返した。  ーーこの学園に足りない文字。  ーーネデナ学園に足りない文字。  ふと視線を上げると、ちょうど向かい合うようにかけられた大きな絵画が視界に飛び込んできた。大きな川に二本の木、緑溢れる場所で一人の女性が様々な動物達と戯れている。  絵画の題名は『NEDENA。』
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