二、

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 そんな時だった。  ドンドンドンッ  音を立て、勢い良く扉が叩かれる。 「秀樹様っ! すぐにここを開けて生徒を引き渡してくださいっ!」 「咲希様がいらっしゃいますよね⁉︎ 当主様がお怒りですっ!」  何人いるのだろう、職員や教師の声は絶叫に近い。緊張が走り、城之内は息を吐き出した。 「どうする? 正面突破でもしてみる?」  それは暗に絶対に捕まると思うけど、と言っている。だけどこの部屋に人が出れるような扉や窓は他にない。 「一樹様がすぐにこちらに戻って来ると! 聞いてらっしゃいますか⁉︎」  迷っている暇はなかった。 「慧⁉︎」 「咲希までどうした⁉︎」  二人同時に動き出す。慧がセキュリティを解除してくれている間に清澄先輩のパソコンとUSBメモリーを繋ぐ。 「あとどれくらい?」 「……五……いや、三分」  慧は顔を上げる事なく言い切った。並ぶ画面の数を見ても、このセキュリティも相当なものである事を伺わせる。慧の知識とタイピングの速さがあっても、これ以上縮めるのは難しそうだ。  そうこうしているうちに、扉から聞こえる音は鈍い物から金属同士が触れ合うような物に変わった。 「お前達! 開けなさいっ! どうなるかわかっているのか!」 「もうすぐ開くからなっ!」  金属製の何かで鍵をこじ開けようとしているのだろう。そうもちそうにないのは明らかだった。
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