二、

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 そんな中、慧が沈黙を破った。 「コピー終わったぞ」  USBメモリーは慧のポケットに入れ、清澄先輩のパソコンを受け取れば準備完了だ。 「ん。……私達、これから行く所があるんで開けますね」  答えを聞く事なく鍵を開け、扉を開く。一瞬の緊張が走ったけれど、職員達の足は床に張り付いたように動かない。ただ自分以外を見回して、誰か動くか伺い合っている。  ーーこれなら大丈夫。  目配せすると、城之内が先頭に出た。 「行くよ」  誰も反論しなかった。  城之内が一歩歩むごとに、モーゼの十戒のごとく人垣が割れていく。教師はほとんど駆けつけていたし、職員もこんなにいたんだと思うくらい集まっている。それだけ捕まえるのに必死だったという事だ。  そして大人達の塊の向こうには、生徒達の更に大きな塊が待ち構えていた。  先頭には先程会ってしまったクラスメイトの高ランク。その後ろにもクリスマスパーティーで見た顔ばかりが並ぶ。こんな時までランク主義なのが学園らしい。  その集団の奥にいた。 「咲希っ!」  半年ぶりの双子の片割れ。心の距離ができても、今まで物理的に離れた事なんてなかった。半年見ない間に丸みを帯びていた顔がシャープになり、少し痩せたようにも見える。 「尚人っ!」  尚人は高ランクの人波を掻き分けるようにしてこちらにやって来た。
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