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「……咲希は、これからどうする気なんだ?」
一樹はゆっくりと言葉を紡いだ。
「勿論お祖父さんを止めるよ。これ以上学園の生徒に酷い事はさせない」
「……それなら早く行った方がいい。お祖父様のパーティーの名目は僕の披露だけど、資金集めも兼ねてる。……祖父の言う新しい国に賛同する人を集めているんだろうね」
計画が大掛かりになればなる程、止めるのは難しくなるのは目に見えている。慧と顔を見合わせ、頷き合う。
「そうだな、急ごう」
「秀樹お兄さん、車お願いしていいですか?」
バッと体ごと振り返ると秀樹は意味ありげに口角を上げた。
「それより速い乗り物があるだろ」
「え?」
「ヘリコプター、操縦できるんだろ?」
その問いかけは間違いなく一樹に向けられている。
「え、一樹! ヘリコプター操縦できるのかよ⁉︎」
「……まあね」
「絶対それが速えじゃん!」
尚人が興奮気味に食いついたけれど、二人の目が合う事はなかった。それが今の距離感を表しているようでほんの少し寂しいけれど、一樹がちゃんと尚人に言葉を返している。今はそれだけでいい。
「操縦士はあの人の息がかかってるだろうから使えない。お前が操縦するのが手っ取り早い」
「一樹、お願い! 私達を連れて行って」
「……わかった、いいよ。ヘリコプターは六人乗りだ、どうする?」
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